参加者の感想
第5回VIPROS 発足1周年記念イベント
   映像・動画で探る「生命」
―映画上映と最新の顕微鏡&バイオイメージング技術の見学-
2024年4月26日(金) 13:30〜16:30



●河南翔大 東京工科大学大学院・松井毅研

「科学映画」というワードすら知らなかった私ですが、いつのまにか没頭しておりました。百聞は一見にしかずとはまさにこのことで、教科書や辞書では味わうことの出来ない、貴重な勉強会になったと思います。

●武智ゆり

[上映] 『生命 はるかな旅』
医学部学生向けとのことでしたが、一般の人でも、写真などの静止画像や標本などを観察することはできても、体内で起きている現象を実際に観察することはできません。CGのような技術で、いくらできれいでわかりやすい映像を作ることはできますが、このようにナレーションやテロップを最小限にした実写の映像は、自分の眼でよく観察することを促す優れた教材だと感じました。

『時空キューブ 生命02 消化』
視聴する前は、時空キューブの仕組みが理解できませんでしたが、映像で何回か出てくると、なるほど!とその工夫に感心しました。この作品で、横行結腸が腸内細菌の棲み処と初めて知り、自分の身体の中でこんなことが起きているのかと想像してみると楽しくなる作品でした。

[見学] 片柳研究所のバイオナノテクセンターの見学では、電界放出型走査電子顕微鏡などよく耳にはするものの実物は見たことのない様々な分析機器を直に見ることができたことは大きな収穫でした。自分が使うわけではないですが、最先端の機器が立ち並ぶスペースにワクワクしました。
松井毅先生の研究室の見学では、お忙しい中、丁寧に解説をしてくださった松井先生に感謝いたします。皮膚は体が外界と接し、私たちを外からのストレスから守ってくれる重要な臓器なので、先生はじめ皮膚科学の研究室から様々な成果が生み出されることを期待しています。

●佐藤年緒

[上映]
『生命 はるかな旅』と『時空キューブ 生命02消化』を観たのは、かわさき市民アカデミーでの上映以来2度目です。
『生命』で映し出す受精の瞬間は何度見ても感銘を受ける。3億の精子のたった一つが卵子に突入。もし隣の精子だったら、人間でいえば、別の個性や人格をもつ人が誕生したのだろうか。偶然性に支配されている自分とは何かを考えさせられる。4-5週間経った胎児の姿も映像は捉えているが、どのような方法で写したのだろうか。いつも撮影方法について驚きがあり、知りたいと思います。
ナレーションが冷静でよい。音楽もよく選んでいる。エンディングは海と鳥の姿を映しているが、このよく考えたシナリオをどうやって創り上げたのであろうか。文学的、芸術的な要素も組み入れている。
最近のNHKがつくる「生命」「いのち」をめぐる番組は、タレントを動員して質問をさせていく手法を使うが、視聴率アップに期待している意図が見え隠れし、視聴者自身の科学的な関心が途切れてしまうことがある。であるので、アイカムの映像づくりは基本的なスタイルではないかと思う。

『消化』の映像も消化をめぐるさまざまな働きが貴重な映像に収められている。43分という比較的長い時間での映像なので、視聴者にとって何が疑問か、何を知りたいか、あらかじめ考える機会を与えられると、ストーリーとして観やすいと思いました。かわさき市民アカデミーの上映の時は、あらかじめ、上田さんが、視聴者に「消化」をめぐってさまざまな疑問を出させてから映像を見た。そのプロセスが大事だと、感じた。

『驚異の微生物』は初めて見ました。知らないことをこの映像で初めて知ったことが多い。ニキビの原因を若い時期に知っておけば、あれほど悩むことがなかったと思う。少年、少女時代に見ておくべき映像だと思う。大学生も1人でも多く、見る価値があると思います。

[見学] 松井毅先生に研究室とバイオナノテクノロジーセンターに案内される。所狭しと先端の観測機器、顕微鏡などが配置されているのは驚き。皮膚と進化の基礎研究は興味深い。また皮膚の老化と化粧品開発などの現代的な研究、今後、長寿化社会において、大いにビジネスチャンスがあると思った。とても親切に丁寧に案内、ご説明いただいたことに感謝いたします。

時間に余裕があれば、参加者間の意見交換ができればよかったと思いました。
なお、東京工科大学図書館にあのDVDがあるのであれば、どのように見てもらう方法があるのか、うまいアイディアがあるといいですね。「メディア」学部もあるようですし、科学映像の撮影の歴史、プロセスを知ってもらう機会にもなるといいですね

●大和英之

[上映]
1) 生命 はるかな旅 この作品は、生命の成り立ちを人(哺乳類)の形成、成長する過程をいくつかの具体的な組織・器官に焦点を当てて映像化されている。これは、生命の神秘を組織・器官の形成・成長過程を通して現在存在する人(哺乳類)の生命(生命維持)の機能の一部を視聴者自らが「生きている」という神秘の一部をいわば客観的な立場から理解するための支援ツールとして貴重な作品と考えられる。
また、この貴重な作品は視聴者に対して驚きと感動を与えるばかりでなく、これにより視聴者は生命の成り立ちに対するさらなる興味、探究心、あるいはロマンを強く抱くことができる機会ともなり得ると考えられる。

2) 時空キューブ 生命02 消化
これは、上記1)に続き、同様な感動を視聴者に与える作品である。こちらは、さらに生命維持を支える現象(組織・器官の機能)を深堀した作品である。基礎的な生物学、化学、あるいは物理学の知識を持っている生徒、学生などには生命現象を理科系分野(生物、化学、物理など)の各種理論に基づいて、各種組織・器官の機能メカニズムを解明しようとする方向へ導く。その映像は、映像製作者が考案したユニークな過程を提案しモデル化したもので、教育の場では“考える/考えさせる”授業のツールとして適していると思われる。

3) 驚異の微生物 からだの中の不思議な住人たち
この作品は、常に共生している常在菌を通して各種組織・器官に与える影響を可視化したものである。特に皮膚にターゲットを当てた映像からは、皮膚に対する常在菌(微生物)の作用が解析され、種々の皮膚障害、皮膚の健康維持、ひいては皮膚のアンチエージング等への医薬品、健康関連商品、化粧品等の開発のヒントとなると言ってもよい多くの情報が示されていると思われる。この映像については、特に医薬品、化粧品等の開発を担当する研究者、開発担当者の基礎的知識を得るものとして貴重な作品としても有効なものと考える。
皮膚以外呼吸器、消火器等の映像についても、それらの分野の研究、開発に携わる担当者の専門的知識、教養を得るためのものと成り得ると言える。

[見学]
4) 東京工科大学バイオナノテクセンター皮膚進化細胞生物学(松井毅)研究室
皮膚研究の最前線でご活躍の松井教授の研究室、および各種分析機器等を集めた施設の見学をさせて頂きました。このような恵まれた環境の中で、期待される人材の育成がなされているということに感銘を受けました。 

●吉岡有文

[上映] アイカムさまには、吉岡のいろいろな質問に対してご返答いただきましてありがとうございました。私は、科学教育映画研究のため、購入可能なアイカムの作品は、ほとんど購入し視聴しております。今回の映像も何回か視聴しています。そこで、つねづねどのようなコンセプトで作り上げてきたのかを知りたいと思っていました。そこでいろいろ質問させていただきました。アニメにしても実写にしても映像を中心にしていることがよくわかりました。また、「時空キューブ」というメディアを創造した理由もよくわかりました。私は、現在、看護学校2校で「看護物理学」の授業をしていますので、アイカムの作品を、あらためてじっくりと視聴してたいへん勉強になりました。

[見学] 私は、以前、「科学実践現場のフィールドワーク」と称して、研究所、研究室を観察しそこでつくられている科学実践を記録するという研究活動をしていました。その多くは、物理学関係のフィールドでした。今回、電子顕微鏡を活用した最先端の生物学研究室を観察させていただき感謝しています。様々な用途の電子顕微鏡などの観察器具というツールに媒介され、さまざまな科学実践がつくられているという印象を受け非常に興味深かったです。このような科学実践を、最終的に、どのようにして研究成果としてまとめあげていくのか、その具体的な活動を知りたいなと思いました。今回は、すばらしい研究環境に圧倒され、ご質問をする余裕もなく失礼いたしました。ご案内いただきました東京工科大学の松井先生に感謝申し上げます。

●松田美恵子

まず、東京工科大学の、広大で緑豊かなキャンパスに圧倒されました。

アイカムさんの映画は、これまでも何回か見ましたが、見るたび映像のすばらしさに感動します。CGやアニメーションなどとは別の、実物からくる感動があると思います。学習教材としてなら、最後の皮膚の映画のように、短めのものを、単元ごとに編集するのが、今の時代にはあっているのかもしれないと思いました。

松井先生の研究室見学では、最先端の機器に触れることができ、画像や映像の可能性が非常に広がっていると感じます。皮膚の研究を通じて、進化の過程に迫るというお話も魅力的でした。このような機会を作っていただき、感謝しています。
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