イベントレポート
●アイカム50周年企画「30の映画作品で探る”いのち”の今」

    第12回 映像がとらえた 環境と健康の危機 <2020年7月11日(土)> 


    会場は事前に消毒し、換気にも留意し、参加者には、到着時に手洗い・消毒にも協力いただいて実施しました。
上田:











少し早いですが、お揃いですので始めます。みなさんこんにちは。マスクをつけて話すのは初めてなので、お聞き苦しいと思いますが我慢していただければと思います。アイカムの映画上映会、第12回、今日のテーマはいままでとちょっと違って「環境 の問題です。本当は、ゲストとして嵯峨井勝先生をお呼びしていたのですが、ご都合がつきませんでした。ご存知の方もおいでと思いますが、嵯峨井先生は日本の大気汚染について、ディーゼル排ガスに含まれる粒子が大気汚染被害の原因になりうるということを世界に先駆けて明らかにした研究者で、そのプロセスで非常に厳しい闘いをされていて、当時の環境庁やアメリカなどの御用学者らと闘いつつ、科学的な事実を持って、当時苦しんでいた人たちの裁判闘争にも関わって法廷で証言された方です(※)。ぜひお話伺いたかったのですが、残念です。
※参考:「呼吸器系疾患は減らせるか〜大気汚染の変遷から読み解く〜」
                                        『市民研通信』第31号 通巻177号2015年7月 → 詳細はこちら
テーマが公害ということで、今日の映画は1970年代初頭という時代です。その当時のことをご記憶の方も多いと思いますが、私は小学生で、社会科の宿題に「テーマを決めて新聞の切り抜きをやりなさい」というので、公害というのがあるみたいだと集め始めたら、たちどころにノートが記事だらけになった記憶があります。それぐらい非常に大きな社会問題になった時期ですよね。そのことを振り返りつつ、今の全世界的に大きな問題になっている環境の問題を広く見渡してみたいと思っています。そこに科学や映像がどんなふうに関わっているのかということで、見ていただければありがたいと思います。
では、今日の3本のうち、最初の一本を解説してください。
川村: アイカムの川村です。『生体と大気汚染』は1972年の作品です。アイカム(当時、シネ・サイエンス)は1968年に創立されまして、『生命 哺乳動物発生の記録』という映画を作りたいということで仲間が集まって作られた会社ですが、その『生命』が発表されたのが1970年、それが世界的にも評価されたので、この映画も頼もうということになったのではないかと思います。1968年美濃部都知事時代にできた東京都公害研究所の依頼で作られました。初代所長が戒能通孝さん、足尾銅山の鉱毒訴訟の弁護士を務められた方です。
 科学映画として、その実態を見せようということで作られました。環境汚染の実態を捉えたということで、国際環境会議などで招待上映されました。





           ■ 映写   1972   『生体と大気汚染』   24分
          
上田: この映画について、武田さん、東京都公害研究所からの依頼があって作られたということですが、公害研究所に赴いて撮影されたのか、アイカムの実験室で撮影されたのでしょうか。
武田:
1970 年に『生命 哺乳動物発生の記録』を撮りたいと仲間が集まった。それで世界で初めて、哺乳動物発生の記録を撮ったんですよ。それがヨーロッパの映画祭でたくさん受賞したので、東京都が科学映画を作るいくつかの中から仕事できる連中にと頼んでくれたんですよ。そして、撮影自体は僕らが全部、基本的に自社内で撮影しました。
長谷川: この作品の撮影に携わりましたアイカムの長谷川です。武田がだいたい編集して完成という段階で、何かもう一つメッセージがほしい、と考え続けていて、ある朝電話がかかってきたんですね。僕らは、撮影はクランクアップしていると思っていたんですが、シャーレが出てきて、その中で細菌が自分の代謝産物で死んでいくというメッセージがほしい、撮ってくれということで、それが最後のシャーレのシーンなんです。ラストに死んでいく細菌があると、人間に置き換えて、思い入れができるのではないか。で、撮影した、あのシーンがあって印象的になったのではと思いました。
武田: その2年後、1974年に、次にご覧いただく映画『脅かされる食生活 遺伝学からの警告』を作ることになったんですね。映画は真正面と真横から撮るべきだという映画界の先輩の主張があったり、それは違うのではと論争したり、今思えばちょっと意に染まないところもあるのですが、見てください。
川村: これはうちの会社の自主制作です。こういう映画を作らなくてはいけない、作るべきだということで作られたものです。当時、食品添加物のAF2、フリルフラマイドが、結局、10年間くらい防腐剤として食品に使われたようですが、その危険性を指摘した国立遺伝研の先生方や東京医科歯科大学の先生方の協力でこの映画が作られ、それが元になってAF2は使用中止になりました。





           ■ 映写   1974   『脅かされる食生活 遺伝学からの警告』   27分
          
上田: 非常にわかりやすい手法を使っている、といいますか、交配実験で世代で見て、どういうふうに変異が出てくるということですから、詳しいメカニズムがわからなくても、その影響があるんだな、ということがダイレクトに伝わってきます。これで実際、AF2は禁止になって使われなくなったのですけど、その当時、使われていた添加物で使われなくなったものは結構たくさんありますよね。こういう科学的手法で証拠を積み上げることによって、いけそうだなと思っていた物質が、いやそうではないということが後から判明することがあるわけです。それは今も変わらず私たちは身の回りのものに対して、そういう目で見ていかなければいけないということがあるのですけど、この映画にみるように科学者が実際に登場して一緒になって調べて映像として残していこうという気運のあった時代ということになると思います。今では、そこまでやってくれる人がどれくらいいるんだろうか、という気にもなったりするんですけれども。
川村: 映画の最後の方でコメントしてくださったのが、国立遺伝学研究所所長の田島弥太郎先生、最初の方で顕微鏡を覗いていらしたのが東京医科歯科大学教授の外村晶先生です。
上田: それでは、3本目の映画にいきましょうか。
川村: 1986年『緑とわたしたち』という映画です。完成して友人に見せたら、ラストの企画クレジットをみて、「えっ、環境庁(当時)じゃないの?」と言われたのを覚えていますが、科学技術庁(当時)の映画です。中学・高校生、一般の方向けに当時、科学技術庁では多い時は1年に10本の科学映画を作っていました。これはその一つで「緑を科学する」というテーマで、企画コンペ(競合)でうちが採用されたものです。





           ■ 映写   1986   『緑とわたしたち』   22分
          
<休憩>   
上田: それでは、今日見た映画のこと、公害の問題のこと、あるいは生態系、環境や緑のこと、映画の作り方のこと、いろいろ感じられたことがあると思いますので、みなさん、この映画はここが印象に残ったとか、思い出したことなど、まずは一言ずついただけたらいいかなと思います。
NT: それぞれの時代を感じますよね。最初の映画は実験的な映像もよく撮られていますし、もともと科学映画の歴史って、私もよく知らないのですけど、小学校、中学校の頃に見たような気もするのですが・・その頃に科学映画の制作会社があったことを改めて感じました。前にアイカムのドームで、いのちの話を、宇宙との関係とかも見たんですけど、いろんな顕微鏡映画とか今後そちらの映画もみたいと思います。
上田: 一つ聞きたいのですが、例えば3本目は科学技術庁の映画ですが、学校で上映されることを前提に作られているんですか。
川村: そうだったと思います。最初の頃はフィルムですが、完成後、各都道府県に一つ、ライブラリーに配給され、回覧されたと思います。
上田: それでは、学校で映画上映会を設けて、生徒たちを講堂などに集めて見たんですね。なるほど。今では教室でDVDをかけたらいいという時代ですけど。当時はフィルムですものね。小学校での上映会とか、そういう思い出のある方、いらっしゃいますか。私もたしかに記憶があります。
NA: 子供の頃に講堂で見たのって、あまりこういう教養の映画はなくて、「ゴジラ」とか見ました。(笑) 今日の上映会を拝見して・・私、生活倶楽部といって、添加物とか遺伝子組み換え食品とか、なるべく排除した食品を使っている、生協に入っているんですけど、時々ここまでやるのかなと思う時もあるんですけど、でも今日の映画拝見して、少しでも危険のあるものは抑えていかなければいけないなと改めて感じました。  
上田: AF2のこととか、今までお聞きになったことはありましたか?
NA: あります。母が結構、そういうものを気にかけていましたので。
上田: そうでしたか、なるほど。そのへんでみなさん思い出せること、ありますか。昔あったけど、今使われていない化学物質のことなど。
OK: チクロ! (ありましたね) すごく印象的で、ココアが好きだったんだけど、今飲むと、あの昔の味じゃないんですよね。もしかしたら、チクロが混ざっていたのかな。独特な香りがあったんですよ。
YS: チクロが入っていて美味しかった。
上田: 独特な甘さですよね。
SM: アイスにも入ってました?
上田: どうだろう、僕は覚えていないんですが。たぶん、かなり広く使われた甘味料ですから。
NA: サッカリンも禁止になりましたね。(そうそう、サッカリン! ) サッカリンを代替するものとしてチクロが出てきた、でもこのごろ、サッカリンて、このごろダイエットように結構、出回っているんですよ。あまり、害はなかったのではないかと言われているんですけど、どうなんでしょう。
SM: 食卓からは味の素というのは、二、三十年前からなくなりましたよね。
上田: ただ瓶詰めはなくなりましたが、みなさんが普通に食べているレトルト食品には必ずと言っていいくらいグルタミン酸ソーダは使われているので、広く薄く使われていることになります。化学物質との付き合い方が変わってきた面もありますね。
YS: 最初の1972年というと、法制化が始まった頃、化学物質についてもいろんな規制が始まった頃ですよね。土壌汚染の話は、まだこのあとの話ですね。胎児への影響とか、いろんな事件があり、検討され始めた頃かな。 
上田: 公害の歴史を振り返ってみたら、70年代は、60年代に起こった深刻な公害の被害が明らかになって、どう補償していくのかとか、世の中がまだもめていた時期ですね。大気汚染に関しても、いくつか節目となるような訴訟があって、それが進行中の時代です。きちんとした規制ができてくるのが80年代ぐらいから。その結果、東京都などは世界でもっとも厳しい大気汚染の規制をもつようになりましたが、嵯峨井先生の指摘したディーゼル規制は石原都政時代になってやっとできたわけで、すごく時間がかかっているんですよね (※)。
※2003年10月1日から、埼玉・千葉・東京(島部を除く)・神奈川の全域で、条例のPM排出基準を満たさないディーゼル車の走行が禁止されるという措置がとられるようになった。
そういうもめていた真っ最中にこういう映画を作ったというのが、意味のあるところかなあという気がします。
OK: 今の映画にもあった、細胞分裂が映像で見られたところがすごくわかりやすかったと思います。どういう有害性があるんだなあ、というのを感じました。最後の映画の「緑が生きている限り、人間も生きていける」という非常に意味深いことばがすごく印象的でした。
 たまたま、今、新型コロナウイルスの問題でみなさんマスクしたりいろいろ対策しているんだけど・・その中で興味をもって、ウイルスとはなにか、DNAとはどういうものか、RNAとか、細かい話も覚えながら、そういうものが細胞にどう影響していくのか、そんなことがもう少し詳しく知りたいなと思いました。最近おぼえたんだけど、DNAが4つの塩基、アデニン・グアニン・シトシン・チミン、そのチミンがウラシルに変わったのがRNA。そのRNAとDNAがどういうはたらきでウイルスになったり、人間の生体に影響しているのかと興味をもって、そこで今日は環境の映画だというので、来ました。非常におもしろかったです。  因みに私、建築屋なんだけど、毎月新聞を作っていて、環境問題、電磁波問題などの記事もたまに載せています。その資料集め、勉強兼ねて、遊びを兼ねて今回は来ました。ありがとうございます。
上田: たしかに今日はじめてアイカムの映画を見た方は、もともと生物を勉強していなかったとすれば、染色体がこう、遺伝子がこう、まさに発生の、受精卵から体ができるプロセスが映っているということは、神秘的というか不思議な感じをもたれたのではないかという気がします。そういう意味では、生物のいろんなしくみ、入り口を見せてもらっている映画にもなっている気がします。1970年代ですから、遺伝子DNAのことがわかってから、そんなに時間が経ってないんです。映画には、DNAの二重らせん構造も出て来ましたが、それがわかって10数年しかたっていない時点だと思われます。素朴な作りになっていて、わかりやすい、勉強しやすいというところもあるような気がしました。
MS:


うちも生活倶楽部生協でほぼ食品、食材を購入しています。自分の母親がプリンでもアイスクリームでもケーキでも自分で作って食べさせてくれる人で、そういう決まったおやつしか食べられないというのが、小さい頃は、お店に売っているものがとっても綺麗で可愛いし、いい匂いのするものが多くて、とても残念な気持ちがしていて、お友達の家に遊びに行くのが楽しみだったんです。でも、やはり添加物というものは、こういう映画がきっかけでなくなっていったというのはあるんですけど、今でも、小さい子が食べるお菓子って裏側を見るといろんなことが書いてあって、本を読んでも意味のわからないものはなるべく避けたほうがいいのではないかと思うんです。表面から隠れた形で、糖質ゼロのアステルパームのようなものも、もしかして有害なのではないか、一つずつ潰していっても、何か目に見えない形でまだまだあるんだなあという気がします。
上田: 添加物はじめいろんな化学物質が使われるようになってきて、一般の人にとっては、名前を聞いてもピンとこないものがやたら多くなっていますね。昔よりはある程度、規制も厳しくなって、いろんなチェックもしながら使っている面はあるけど、トータルでどれほどのものが自分の体に入っているか把握できないままにきているわけですよね。そういう意味では、このAF2で論じられたようなことがまた別の形で起こってくるということは十分ありえることだと考えていいと思います。
 人工甘味料ってありますよね。カロリーほとんどゼロで、甘さを控えるので糖分に依存しなくて済むからいいんだという形で使われていますが、実は、人工甘味料のスクラロースでは他の食事、炭水化物と一緒に摂ると、脳への信号を変えてしまうことがあると報告されています。炭水化物を糖に換える正常な代謝があるんですが、その時に甘味への脳の反応、インスリンの感受性、糖の代謝に変化をもたらし、血糖値の上がり具合が違ってくることがわかってきました(※)。思わぬところで、影響を及ぼすということが、詳しく調べるとあるんですね。
※Short-Term Consumption of Sucralose With, but Not Without, Carbohydrate Impairs Neural and Metabolic Sensitivity to Sugar in Humans. Cell Metab. 2020 Mar 3;31(3):493-502
 やはり、今、安全、今のチェックの仕方で確かめて安全だからOKというわけにはいかないことがあるんだというものですね。
MS: こっちの方が健康にいいと言われて、そっちに行ったのに、実は違う。ということが多いのではないかな、おそろしい気がします。  それから、あの最後の映画の山の暮らしはどこの地域の方なんですか?
川村: さっきの炭焼きの人たちですか? あれは、山形と新潟の県境の方で撮影しました。(ほおー)
MS: やはり、アイヌの人たちの暮らしにも似ているなあと興味深く見ました。ありがとうございます。
上田: 炭焼きのシーン、たぶんみなさん初めてご覧になった方もいるのではないかと思います。すごいですね、二週間火を入れ続けるんですか。ああいうふうにやっていたんだと、映像見ると伝わってきますよね。
SM: 食品添加物についてですが、私は30年以上前、生活倶楽部に2年ぐらいいて、安全・安全を言っていた。完全な無農薬とか、完全に安全なものは存在しないので素性のわかる食べ物を、トレースできる食べ物をと。何か異常があった時に遡れるものが一番大事かな。それから、日本では香料というものが世界で一番強い。ケンタッキーフライドチキン(KFC)のいい匂いがするというのも、全部匂いをつけている。ハンバーガーの牛肉らしいのも、香料です。知らない間にすべて入っていて、味噌ラーメンも醤油ラーメンも耳かき一杯の素があって作っている。全部、化学調味料ですよ。回転寿司のガリやお茶、トンカツ屋のソースにも。異常に空腹感を覚えてたくさん食べる。
MS: やはり脳への信号の関係なんでしょうか。(あるでしょうね)
SM: 今日は今年はじめて、アイカムに来て、久しぶりに実写見て、実写ってすごく面白いなと思いました。今まで何回も見ていますが、今回は顕微鏡で観察するという、科学的な検証プロセスでこういう遺伝的な実証を見ることができて、科学的な観察・実験・実証をわかることができた気がしました。見ていて、ドキドキするんですよ。スポイト持って、顕微鏡の中で起こっていることにときめくんだな。実写はすごい、面白いなと思いました。楽しかったです。
上田:
なるほど。たとえば、蚕がでてきましたけど、みなさん小学校の頃に蚕を家で飼ってみて、卵を産んだらそれがどういう風に変わるか見たというような経験はありますか。でも、まさか、こういう研究に使われて、あんなふうに突然変異を追っていくことができるなんて想像もしなかったかと思います。古典的なやり方で、わかりやすくて、かつ見たら筋が辿れる形になっていますので、科学入門的な意味から言っても、おもしろい映像だと思いました。
YM: 私は子供の頃、お菓子を食べると裏に書いてある原材料を見ながら、食べる子供だったんです。(笑) 一番多かったのが、植物性油脂で、チョコレートやアイスクリームにも、どうして油が入っているのかなと子供心に思っていたんですね。図書館などで読むと、油分がすごく多くてそれに添加物として、乳製品とはちょっと違うものなんだなあと思っていました。
 さっきのサッカリンの話ですけど、寿司のチェーン店で裏面にサッカリンという文字を見たことがあって、たしか昔廃止されたような気がするけど、まだ使われているのかな、怖いなと思ったことがありました。味はいいんですけど、やはり使われているのだと今日思いました。KFCの肉汁も油を注入されているとか、考えさせられます。
上田: たしかに今日の映画を見ると、そういうことに目がいきますよね。実際にどういう形で作られているのか。本当は今のメーカーと科学者に、うちはこうやって美味しさを作り出していますよ、ということを映像で作ってもらいたいくらいなんですよ。消費者にとって、ある面安心もできるし、ある面控えておこうという気にもなる。より伝わってくる。こういう映像の価値にからんで、映像でリスクも説明できるものにしてください、と持って行くのが本来はいいことだと思います。今、全くといっていいくらい、そういうものが消えています。宣伝の映像はあるけど、うちはこうなんだということを科学的に見せてくれる映像は昔に比べてもどんどん減っているような気がします。
SM: テレビ番組などで、工場を見せてこんなに手間かけて作っていますという広告はあるけど、原材料は不明。食品表示も法律上、だんだん見えなくさせている。
上田: 企業自らが率先してやるとは思いませんが、生協と企業に属さない科学者が組んでアイカムに撮ってもらうとか、そういう形の作り方が昔よりもっと必要なのではないかな。成分表示はすべて書けとなっているけど、読んでもわからないものが増えています。例えば、蛋白加水分解物とか。プロセスがわからないと意味がわからない。誰もわからない。だったら、映像にして、分かるようにしてくださいよ、と思うんですけど。
私たちの身の回りのものをより安全にいいものにしていくという意味で、科学映像として、身の回りのものがどのように作られているのか、しくみを明らかにしていくというのは大事な気がします。
SM: 昔はメディアが調査報道やっていたんですよ。山菜を漂白して緑色に着色しているとか、養殖ブリのいけすで藻の生えない薬を使って背骨が曲がるとか問題を、TBSとか、取り上げていた。今、全く見ないですね。
上田: 映像を撮る敷居は下がり、一方で専門的な撮影できる会社もこうしてあるわけで、資金は必要だけど、そのへん何か切り開きたいですね。
SM: ニーズはあるし、クラウドファンデイングで資金集めもできるのでは。実証的な映画を作り続けて欲しいな。
MS: 遺伝的変異の話でただちに影響はなくても、何代かして出てくるかもしれない。後になってからでないとわからないことがたくさんあるんですね。
上田: 化学物質の影響を見る場合、自分の体で発ガン性として出てくる場合もあれば、受け継がれて掛け合わせで経世代で出てくる場合もある。放射能の影響もそうですが、なかなか判別しにくいところもある。遺伝子そのものは変化しなくても、エピジェネティックという、その発現の仕方がおかしくなって受け継がれることもあります。科学が進歩しているだけにその変化のしかたは広く調べていけるようになっているはずです。市民としても知っておきたい。  こういう実験をしたら、こういう結果がでるだろうという、このストーリーは遺伝研の先生が考えたのですか、
武田: こちらで考えてもって行って、見てもらうんですね。田島先生のところは別ですが。
SM: シナリオを作るのにどのくらい時間がかかるものなんですか?
武田: 「生体と大気汚染」はこういうものを作りたいというのを文字にしてもって行って、1週間くらいですね。
上田: そろそろ時間ですが、川村さんの方から何かありますか。
川村: 本日の感想アンケートをお願いします。また、配布物の中に7月18日と8月29日のドーム上映会や、次回、8月22日の第13回上映会「心臓と血管」のご案内があります。なお、9月5日の第14回は、板橋区立文化会館小ホールを会場に、中村桂子さんをゲストにお願いして、『人間』の上映会を行いますので、よろしくお願いします。
上田: みなさん、今日はありがとうございました。
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