イベント感想
●アイカム50周年企画「30の映画作品で探る”いのち”の今」第2回 腸内フローラ その共生の姿を探る <2018年6月23日(土)> 
■内田智明 さん

 数年前に、福岡伸一さんの「動的平衡」を読んだのがきっかけで、 腸の仕組みや腸と微生物との関係に興味を持つようになりました。

同僚から「面白そうな映画がある!」と紹介されたのが、今回の上映会 「腸内フローラ その共生の姿を探る」でしたが、興味深いそのタイトル に惹かれすぐに申し込みました。

最初に驚いたのは、今でこそ皆に知られるようになった「腸内フローラ」という言葉ですが、これをテーマにした映画(前編)が、45年も前に制作されていたということでした。

そして、映画を見て、今も鮮明に思い起こされる場面が2つあります。
ひとつは腸内を無菌にしたマウスでは、免疫機能に大きく影響するパイエル板が成長しないという実験。微生物の存在が生物に欠かせない臓器の一部を生成することに、これほど影響しているという映像です。

もうひとつは、腸絨毛から培養液が吸収され、体内に取り込まれる瞬間の映像。生物の体の中に無生物が取り込まれ、動的平衡が保たれていく、その瞬間の映像ですが、なんだか神々しくさえ感じました。

映像を見て、いや見てしまったから尚更、生命の仕組みは不思議で、もっと知りたいという気持ちが湧いてきます。 幼いころ顕微鏡の中で動くミジンコの姿を見て興奮した感覚を、何十年ぶりに思い起こしました。

アイカムさんは、創立50周年を迎えると伺いました。
ミクロの世界の映像を通じ、生命へのセンス・オブ・ワンダーを刺激してくれる素晴らしい作品を、どうぞこれからも作り続けていってください。 ありがとうございました。
■参加者の感想から
NAさん:








UAさん:








腸内フローラの重要性を改めて認識しました。近年、ヒトの便移植という治療もある由ですが(経口ではなく、腸内に植えるそうです)、成人して久しいヒトにも効果があるのか? あればいいなと思いました。「腸内菌叢と宿主」前後編は、一般人にとってはかなり難解でした。昔の映画のBGMは不気味なイメージですね。

じゅう毛が大切と感じておりましたので、拝見できて良かったです。現在の私たちの、例えば、炎症が起こった状態のじゅう毛はどうなっているのか? どうケアしていったら良いのか? と思いました。(環境づくりについて)
共生の多様なパターンを知りたいです。又、皆が共生のイメージをもつには、どんなことが考えられるか。
UTさん: 腸内フローラや微生物の世界は今後も注目されるテーマと思いますので、是非制作を続けていって頂けると嬉しいです。45年も前にこれ程奥深い映画が作られていたことに驚きました! 大変参考になりました。ありがとうございます。 YHさん: 今回の3本は極めてショッキングですばらしいと思います。今回の映画で示された現象を今の時代の医薬品開発に活かすところを見たいと思います。 NAさん: 作品のテーマと関係ある先生方のお話がおもしろく、知識を増やします。 HKさん: 「アイカム」さんの存在を知るまでは、このような映画があることすら、知ろうとも思わなかった。この歳になって知ること、観ることが出来、感動を覚えました。腸内の仕組みが納得できました。映像で見せて頂けることに感動しました。 DYさん: 映像としてとてもきれいで感動しました。元々宇宙なども見たいと思っていたので楽しみです。SDGsにもつながると思いました。 MRさん: すばらしく興味深かった。最近、数十年に日本でも増えているさまざまな難病、腸でいえばクローン病や、過敏性大腸炎、そして子どもに増えている自閉症など発達障害も、腸内細菌との関連が指摘されていますが、腸内細菌叢が農薬やプラスチックなどの化学物質でどう変化するかなどに関心がある。 YAさん: 1973年1975年の映画は本当にすばらしいものでした。ただ、研究者向きの作品かなと思いました。→専門家どうしのサイエンスコミュニケーション。
・2011年の映画もすばらしいものだと思いますが、→専門家と非専門家とのサイエンスコミュニケーション、最後に出て来る話題はすこしテーマから離れるように感じました。これは武田さんのお話を聞いてよくわかりました。共生全体についての作品、武田さんの哲学。
・特に1973年1975年の作品については、文字で表現された知識とは別の映像的知識、映像的創造というものがあると思いました。
YRさん: 73年と75年の映画は画期的なものであり、驚きとともに知的な刺激を受けました。BGMがちょっと恐くて暗くて残念な感じでした。あとの一本、ビフィズス菌センターのは、最後のゲノムの話になってまとめるところが、飛躍し過ぎだと思いました。シロアリあたりはよかったが、結局ちょっと残念な印象に。無菌では、盲腸は大きくなるが、成長しないものに対して、常在菌の価値は分かったが、どんな菌がどのように有益かが、腸の中での働きなどもっとシンプルに見せてほしかった。(解説で伝えて欲しかった。) パドバ大学での受賞などを見ても素晴らしさを実感しました。ありがとうございました。 Aさん: 前半2本の映画が予想以上に難しい。企画をありがとうございました。 Bさん: 研究の工程の実際を見ると、現実感があってより引きつけられました。 Cさん: とても良かった。理解するのは難しいが・・ OMさん: 参加された方々のこの分野の知識レベルが不明ですが、自分にとってはやや難しく感じました。体の成り立ちの細部に関わる内容でしたので、一般の人にも分かりやすい体の仕組みや病気の発症と治療等、生活に結びついた作品だと分かりやすいと思います。 SYさん: 無菌マウスだと、盲腸が肥大化したり、絨毛の形が崩れるというのは新鮮な驚きでした。そのまま無菌の環境にいれば問題ないのだろうか。ヒトではどうなんだろう。放射線でも自然放射線のない環境にいるとどうなんだろう。無菌マウスの状態は病気なのか。病気との違いは何か。いろいろ知りたいことが増えた。 Dさん: 生体の動きとして見れて、貴重な体験でした。映画の上映だけでなく質疑があったのがよい。 Eさん: 糞便療法を最近知りました。とてもびっくりしました。でも、便を腸に入れるというのは、この世界ではふつうの発想だったのですね、もしかして。質問タイムで、上記のことが間違っていると分かりました。早とちりでした。やはり、質問タイムが面白かったです。私のかわりに適切な質問をしてくださり、ありがとうございました。音楽が第一第二作品はおどろおどろしくて横溝正史みたいでおもしろかった。あまり、科学だからといって、無色なものはつまらないので、チャレンジしてください。
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