イベント感想
●アイカム50周年企画「30の映画作品で探る”いのち”の今」

     第14回 共に生きる いのちの中の人間 <2020年9月5日(土)>  
■参加者の感想から



TKさん: 現在の問題意識と全く通じる(逆に言うと、解決が進んでいない)ことに感銘を受けた。映画のスケールの大きさに驚いた。中村さんの話は、映画の内容を日々の生活にどう落とし込むかに継なげてくれるものだった。ウイルスの話も興味深く、面白かったです。ありがとうございました。

SAさん: 出産のシーンで始まる。くりかえし出てくるいろんな出産! びっくりしつつも人間としての生命の始まりを「見る」ことになり、こういう描き方もあるんだなあ・・という感じです。
共感を持って生きよう~ 自然に出てくるような生き方~ 中村桂子さんの「解決」がとても心にしみました。世界観は、毎日をどうやって生きるか、ということ、そう思います。生命の年月の背景をどう意識するか。「長い時間の中にいる」ということ、それは意識していないと、忘れてしまう・気づかないことだと、お話を聞いていて、とても感じました。赤ちゃんがいろんなこと、わかっている!というのと、DNAは変よ! というのは、おお! という驚き、おもしろかったです。
ウイルスは、つきあうべき相手、着物を着た遺伝子。「ウイルスは生きていない」ということと、活性を持っていることの関連? ちがいをもっと知りたいです。
とても興味深い土曜の午後となりました。映画をきっかけに中村さんの深いお話しが引き出されていくのを会場の皆さんと共にお聞きできて、いい時間をいただいたと感謝しております。すてきな時間をありがとうございました。
「いのち探検」エアドームでの上映会も、ぜひいつか参加したいです。

SMさん: 出産シーン、隠蔽されていると思います。最も「いのち」として重要なこのイベントが、映画の最初と最後におかれていることが印象的。
世界観は、日々生きていくこと。大森荘蔵・・大哲学者! 世界の多様性、生命世界の多様性をどう伝えていくかが、科学教育というより人間教育の中心(柱)にあるべきと思いました。生命論的世界観もアヤウイ。宗教、エセ科学に回収されやすい。いま「日本人の遺伝子はやっぱりこうだった」みたいな本が売れているとか・・アブナイ、アブナイ。

Aさん: 色々と印象にのこる場面が多かったです。

Bさん: マウスが限られたスペースで十分なエサが与えられた空間で、一定数増えると、オスが凶暴化し、メスが子どもを生まなくなるということ。日本は今そうなってるの?

Cさん: 映画と中村先生のお話がリンクしていて、おもしろかったです

MSさん: はるか長い長い時を考える「生命科学」、と、私がいつも直面している「今日どう暮らす」が、見事につながった日でした。なんか、すごい。アイカムの映像はいつもすばらしいですね。ある意味、新しい気持ちで、時を過ごしてゆくことができるのかなあと、「遺伝子」の話も興味深く聞きました。
安心して出産し、安心して成長を見守り、安心して日々の暮らしを考えられる世の中になってほしいです。私たちに何ができるのだろうか。

ZUさん: 「考えること」の歴史について、さらに知りたいと思いました。というのは、人間というか、人はいつから、どのように「自分」のことや地球を個別的に、そして総合的に考えるようになったのでしょうか。
仏教では、生きるとは苦だと理解しているそうです。それでは、「苦」はどこから来たの? と私は考えました。その結果、「考えること」、あるいは「考えられること」が「苦」のもとになっているのではないかと思うようになりました。
来日する前に、私の頭の中には、「ストレス」ということばは存在しませんでした。ただ、「疲れ」というのを知っていました。けれども今は、「ストレスがたまる」「ストレスを覚える」などを考えることができるようになり、ちょっとつらいです。「考えない人はバカじゃないか」と非難されそうですが、考えているからこそ、さらに問題が生じ、争いがふえているではないかと思います。

SNさん: 38年前にこのテーマをこれだけ多様な角度から表現されていることに本当にびっくりしました。色あせない、すごいことです。
1990年入試のグループディスカッションのテーマが生活の便利さと資源の枯渇について、だったと思い出しました。農学部から環境科学研究科に進学して社会に出て20年、今、心理の世界でセカンドキャリアとなっていますが、どれも分断して中途半端なところにこのコロナ禍ですべてつながっているように思えました。
中村桂子先生の生命論的世界観を、もっと発信していただけたら嬉しいです。生態系の中で人間より大先輩のウイルスとたたかうとか、お門違いということ、大きくうなづきました。コロナ禍ギモン、モヤモヤでしたので、元気がでました! ありがとうございました。

Dさん: すばらしい映画とお話を有り難うございました。感動しました。
出産時の赤ちゃんの頑張りのすごかった。

Eさん: 人は祈る、未来を考えることができる生き物として、広く、深く、考えさせられる映画でした。

NAさん: とても重層的な構造の映画で圧倒されました。いきなり出産シーンから始まり、衝撃的でした。様々な国の様々な人々が、ひたすらに生き、次の世代を育む。当然といえば当然ですが、ミクロの生殖、夫婦の子育て、マクロの人々のくらしを全部包含した、すごい映画だと思いました。
中村桂子先生のお話も、いちいち身にしみるものでした。ご年配なのにお元気ですね。生命誌研究館を設立されたときの志のお話も開けて興味深かったです。

Fさん: 映画はあまりに盛りだくさんで、1回では理解が深まっていないかも。中村さんの話はよかった。筋が通っていて、もっと長時間聞きたかった。

Gさん: 色々と印象にのこる場面が多かったです。

Hさん: とても感動しました。素晴らしいです。

  谷 敦 さん: 前回の印象から、非常に専門性の高い映画だろうと半ば覚悟して臨んだが、今回の「共に生きる」はミクロからマクロ、地域からグローバル、生命発生の起源から現代までの壮大な時間・空間の歴史の流れ総体を捉えていることに圧倒された。これは隠れた名画の一つだと思います。

中村さんの話は、世間では耳にしたことのない新鮮で瑞々しいものが沢山あり、ハッとすることがしばしばでした。
「生命論的世界観」と「機械論的世界観」が対比して語られ、前者に基づいて考えれば、生命の誕生から何十億年もの進化の歴史の結晶が私たちの体内にあるのに引き換え、後者の歴史は、せいぜい百年に過ぎない。全てを短時間・効率の機械論的ものさしで測ろうとしていることがおかしい、というお話はまさに腑に落ちるものでした。時間を短縮し、効率よくゴールへ至ることを是とするなら、生まれたらすぐ死んでしまうことが一番効率の良いかと言えば、勿論そんな訳はない。生きるとは時間を紡いでいくこと、急いてはいけないとの例えに深く納得しました。
また、「機械論的世界観」はキレイなものだけで形成されるのに対し、「生命論的世界観」はキレイなものだけでは成立しない。そこには痛みも汚れ、苦しみや不快も存在する。そういうものは「不要」無価値と判断し、「削除」すれば、同時に喜びも消えるのだと思い至りました。
コロナ禍でウイルスを敵対視し、打ち勝つようなことを言う勇ましい人もいるが、そもそもウイルスの方が、人類よりずっと先輩だし、1億5千万年前にウイルス由来で胎盤が出来たのが哺乳類誕生に繋がったのだから敵対視するのはおかしい。友達であるかどうかは別として付き合い方の問題だろう。
お話しを伺って、最近の若者たちの、PCやスマホを多用する勉強や研究の方法、その普及が果たしてどうなのか? 短時間で効率よいデータ収集には便利だが、素朴な疑問を長く持ち続けたり、物事を時間を掛け深く思索する過程とは無縁ではないのか。「蓄積」され、後に「発酵」し、思いがけない新たな発見に結び付くこともないように思えて心配です。

設定日時、広い会場ともに良かったのです。唯一気になったのは、ソーシャルディスタンスを取るにしても、映画の質の高さに比して参加者数が少な過ぎたこと。あまりにもったいないと感じました。
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