肝線維化 −伊東細胞(星細胞)との関わり−
制作年月 1997年3月
時 間 21分
あらすじ 慢性肝炎から、やがて肝硬変、肝癌に至る病態の進展を食い止めるために、肝線維化という現象が注目された。ラットにコリン欠乏食を与えることでヒトの病態モデルが作られ、肝臓組織に線維化の進行が確かめられた。肝細胞の傷害とその修復に始まる線維化がいかにして不可逆な病態に至るのか。肝線維化には伊東細胞が深く関わっているという。

伊東細胞を分離して培養すると、まもなく細胞内のビタミン顆粒が散在し消えていき、倍以上に広がり、さらに培養を続けるうちに増殖し、線維を作りはじめた。抗線維化作用をもつ小柴胡湯を使って再確認していく中で、線維化の過程におけるクッパー細胞の役割も改めて浮かび上がってきた。

世界で初めて分離した伊東細胞の20日間の連続長期培養に成功し、生きた伊東細胞の活性化が映像化された。培養系ながら、ヒトでは長い年月のかかる変化のモデル的映像化として、完成当時、監修の沖田極先生に評価された。

因みに、1956年伊東敏夫が肝臓でみつけた伊東細胞は、自然蛍光を発する細胞だが、血中のビタミンAをとりこみ、脂肪滴とともに貯蔵することから、脂 肪摂取細胞(fat storing cell)、あるいは、肝実質細胞と類洞の間に星状に足を伸ばす形態から肝臓星細胞とも呼ばれる。
受賞歴
企 画 株式会社ツムラ
監 修 沖田 極 (山口大学医学部第一内科 教授)
学術指導 坂井田 功 (山口大学医学部第一内科 助手)
協 力 萱野 幸三 (山口大学医学部第一内科)
松村 康博 (山口大学医学部第一内科)
奥田 道有 (山口大学医学部第一内科)
※企画社名、監修・指導学者の所属・肩書き等は完成当時のものです。
スタッフ 演出:川村智子
脚本:川村智子
撮影:西山文夫 / (SEM)稲葉謙介 
研究:富田勉 / 森山ひとみ / (SEM)石崎美知子
作画:森日出朝
解説:伊藤惣一
制作デスク:轟泰行 / 戸田祥一郎
制作:武田純一郎 / 西弘士