G−CSF −生体防御に於ける役割−
制作年月 1991年6月
時 間 20分
あらすじ 癌の化学療法や放射線療法によって、好中球が著しく減少すると、感染に無防備な状態になります。それを食い止める薬剤が長らく待望されていました。 1966年に骨髄細胞を刺激し、増殖させる生体物質が見つかり、その中で1985年に好中球だけを特異的に分化・増殖させるヒトG-CSFが精製される や、翌年にはその遺伝子を大腸菌に組み込むことに成功、大量生産の途を拓きました。

この映画では、顕微鏡微速度撮影を駆使し、実験によって生体におけるG-CSFのダイナミックな働きを見ていきます。抗癌剤を投与した好中球減少モデル動物は緑膿菌接種によって、まもなく死んでしまいました。その時体内ではどんなことがおこっているのか。健康ならばまたたくまに血管に張り付き、感染組織に遊走して緑膿菌を排除するはずの好中球はまったく姿をみせず、無抵抗のまま生体組織では菌の増殖が広がっていきます。

この映画のために考案された独創的な生体灌流法によってG-CSF群と対照群を比較し、さらに骨髄組織切片の培養によって、G-CSFの働きを明らかにしていきます。枯渇した生体防御の復活が印象的でした。

バイオテクノロジーの医療応用の成果として、ニーズも高く大きな成功例であるG-CSFの紹介です。
受賞歴
企 画 キリンビール株式会社
三共株式会社
監 修 高久 史麿 (国立病院医療センター 院長)
学術指導 浦部 晶夫 (関東逓信病院 部長)
北川 誠一 (自治医科大学 助教授)
※企画社名、監修・指導学者の所属・肩書き等は完成当時のものです。
スタッフ 演出:武田純一郎 / 川村智子
脚本:川村智子
撮影:北原幸夫 / 栃沢正夫 / 林正浩
研究:高岡成好 / 浅香時夫 / 富田勉
作画:森日出朝
音楽:宮川進
解説:伊藤惣一
制作デスク:長谷川高久
制作:武田純一郎 / 内山崇